大判例

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東京高等裁判所 昭和53年(ラ)508号 決定

原裁判所は昭和五二年一二月二一日当事者双方に対し、第一回審判期日を昭和五三年一月一一日午後一時三〇分と定め、その呼出状を普通郵便(封書)で送達し、抗告人もこれを受領したが、抗告人は心身衰弱状態、心因反応のため当分の間末広橋病院に入院加療を要する旨の診断書を添えて不出頭の届出をしたので、原裁判所は、第一回審判期日には相手方(申立人)のみを審問し、第二回期日を同年二月七日午後一時三〇分と定めて抗告人に呼出すことになった。ところで、その期日呼出状は「新潟市中大畑町五四八永野司法書士事務所永野勇」(原審判は同所に送達されている。)宛てになされたが、不在のため不送達となり、右期日は同年二月二七日午後一時三〇分に延期された。抗告人は昭和五二年一一月八日から昭和五三年一月三一日まで前記末広橋病院に入院していたが同年二月三日にはすでに肩書住所地の「新潟市坂井九七〇―一」に居住していた。右延期期日の呼出状は肩書住所地に送達されたにかかわらず、不在のため、郵便局が同年二月一三日抗告人に対し不在通知書を発行したが抗告人は所定の配達申出をせず放置したので結局不送達となり返送されるにいたり、原裁判所は右期日の指定を取り消して審判をすることとした。

また、抗告人側の事情については、原裁判所は新潟市長に対し、(1)同年一月一一日抗告人の昭和五一年度分の総所得金額、社会保険料、生命保険料、所得税額、住民税額につき、(2)同年同月同日抗告人所存の固定資産の内容につき、(3)同年四月一七日抗告人の昭和五一年度分固定資産税額につき、(4)同年四月二四日抗告人の個人事業税額(司法書士としての)につき各調査嘱託し、各回答をえている。のみならず、原裁判所は、抗告人に対する調査官の現地出張調査はしていないものの、別件調停事件における抗告人の別居事由についての主張等についてこれを審判の資料としている。

(二) 以上の事実によると、抗告人は裁判所の審問に対し直接意見を述べる機会が与えられなかった、そのことによって憾みはあるが、しかし、この種の審判事件においては関係人に法定の手続で審尋を受ける権利が保障されているわけではないから、原裁判所が諸般の事情を考慮して抗告人に対する審問を打ち切ったとしても手続が違法となるものではないと解するを相当とする。因みに原裁判所が本件につき直接抗告人から事情を聞かなかったとはいえ、職権で前記のとおり各調査嘱託をしたのみならず、別件調停事件における抗告人の主張をも審判の資料としており、本件審理手続において抗告人に十分に意見を述べさせた場合と同一の効果をもたせている。したがって、原裁判所の手続に抗告人所論のような手続上の違法は存在せず、この点の主張は失当である。

(杉本 高木 清野)

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